2022年08月16日

Granat-Shアーマー 解説②

こんにちはこんばんは。久しぶりのブログ更新です。

一つ前の記事で紹介したシチョルコフスカヤ紡績工場製 Granat-Shアーマーの解説記事第2弾です。
以前もお伝えした通り、メーカーカタログからすらも落ちてしまいまともに紹介している情報がこのブログくらいしかなくなっちゃいましたので、分かる範囲で情報をまとめていきます。

Granat-Shアーマー 解説②

今回紹介するのは、Granat-Shのコピー元であるIOTVアーマー Gen.2との比較です。
コピー元と一口に言っても、細部にはシチョルコフスカヤ紡績独自の改造が施されていることが判明しました。
この記事の執筆にあたり、米陸軍装備を研究しているとうりまん氏に情報を提供していただきました。
この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。
以下の解説で紹介するIOTV Gen.2の写真は全てとうりまん氏から許諾を得て掲載しております。

【Granat-Sh & IOTV Gen.2比較】
Granat-Shアーマー 解説②
Granat-Shアーマー 解説②
正面画像から。全体的なシルエットや裁断にそこまで大きな変化はありません。
改めて米軍採用のボディアーマーがA-tacs FG柄になっているのは不思議な感覚ですね

PALSテープの本数やマス目の数は同じですが、胸元のテープに着けられているメスベルクロの面積が異なります。
Granat-Shは4.5マス、IOTVは4マス分縫い付けられています。
(アーマー上部)
Granat-Shアーマー 解説②
Granat-Shアーマー 解説②

アーマー上部で最も大きく異なるのは肩まわりのデザインです。
元となるIOTVは左肩のDリングがフラップの内側にあり、収納できるようなデザインになっているのに対し、
Granat-Shは両肩とも完全に外部に露出しています。
また、Dリングの取り付け位置もアーマー前面にあるIOTVとは違い、肩の頂上に来るような位置に取り付けられています。
本職の隊員はこの両肩のDリングに青いパラコードとカラビナを装着しています。
推測ですがVant-VMやVeer-6シールド保持の際に取っ手と接続し、補助ハーネスの様に使うと思われます。

(裏面)
Granat-Shアーマー 解説②
Granat-Shアーマー 解説②
Granat-ShとIOTVの違いが顕著にあらわれるのは裏面の構成です。
まず、IOTV Gen,2にはない発泡ポリエチレンの3DメッシュがGranat-Shにはついています。
実はこれ、IOTVのGen.1に存在していた構造です。とうりまん氏の推測では
「中東での使用を想定したIOTVはメッシュ内に砂が入るのでGen.2以降はなくなったのではないか」とのこと。

Granat-Shの3Dメッシュ構造は先祖返りを起こしているという点は非常に興味深いですね。

他の大きな変更点としてはエラスティックバンドの有無が挙げられます。アーマー背面側からお腹周りを通して固定するベルトみたいなやつですね。
これはIOTV Gen.1から存在している構造で、アーマー重量を胴体に分散してくれる便利なヤツなんですが何故かGranat-Shは無くなりました。
おかげで装着時に前面と背面のアーマー側面がぶつかって非常に着づらいです・・・これは残してほしかった機能ですね。

(アーマー付属品)
Granat-Shアーマー 解説②
Granat-Shアーマー 解説②
Granat-Shアーマー 解説②
アーマーに取り付けられるアタッチメント類です。Granat付属かちょっとアヤシイNape Pad以外は基本的にほとんど同じですね。
ここでの相違点としては前後のグローインアーマーが挙げられます。全体的な形状も取り付け方法も異なります。

Granat-Shアーマー 解説②
IOTVはアーマー裏面にループがありそこにグローインのテープを通して固定するのに対して
Granat-Shアーマー 解説②
Granat-Shはプレート/ケブラー挿入口のベルクロに挟み込むようにして固定します。
グローインの形状も、とくにお尻側の方はテープがなくなった分かなり大型化されPALSテープは省略されています。

Granat-ShとIOTV Gen.2の比較は以上になります。

Granat-Sh 使用例
最後に数少ないこのアーマーの使用例を紹介します。
以前は17~18年頃のダゲスタン派遣時にBulat隊員が2名使用していましたが、その後2020年10月末ごろの訓練でもロシア本国に残るもう一着が使用されています。
Granat-Shアーマー 解説②
Granat-Shアーマー 解説②
ネックガードやグローインを取り外したシンプルな構成でかっこいいですね


また、この訓練と同じタイミングで撮影されたRosgvardiya公式の動画も挙がっています。
レポーターとBulatおじさんたちがキャッキャウフフしている動画なんですが、英語字幕がついています(!)
Bulatの隊員自らレクチャーする制圧方法や、状況の解説なんかをしてくれている大変貴重な動画です。必見です。

以上でGranat-ShとIOTVの比較&使用例解説を終わります。
シチョルコフスカヤ紡績工場…ロシアのギアメーカーでもだいぶマイナーですが、良い製品をたくさん作っています。
今回のGranat-Shもコピーとはいえ、細部のマイナーチェンジを含め「単なるコピー」で終わらせないあたり、とても好きです。

SOBR装備、こうしたユニークなアイテムや地域オリジナルの使用例を垣間見れるところが探求心をくすぐられます。
皆さんも色々調べてみてください!



Posted by HiRO@SOBR at 21:45│Comments(0)
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